今月の帯二本目は、
長浜縦絽インドシルク入り名古屋帯*翡翠〜カワセミのご紹介です。

長浜の縦絽に、インドシルクが横に交差し、細かい格子柄のように見えるめずらしい生地。
インドシルクの黄金色が効いていて、生成り〜未晒しの薄茶に近い地色に見えます。

ごく薄く、かつハリがあり、とにかく雰囲気のある生地。
今回、特徴のある面白い夏帯生地がたくさん手に入りましたが、中でも1番のお気に入りです。
柄を付けずに、このまま無地でも良い感じ。
とは言え、やっぱり何か染めたいので、この生地の質感を損ねないよう、
極上のヒスイの帯留を添える気持ちで、カワセミを描きました。
カワセミは大好きな鳥です。
前から染めたかったのですが、まっさらな塩瀬や塩瀬絽に描いてしまうと、なんというか
微妙に時代が違う気がして、良い感じに受け止めてくれる生地を待っておりました。
描き込みすぎると暑苦しくなるので、ごくごくさらっと、透明感を出して。
普段なら一枝添えたいところですが、あえてぽつねんと。
代わりに前部分には、柳と川とんぽをそれぞれ添えました。

太鼓と前の柄の取り合わせを考えるのは楽しいものですが、今回は久々の名コンビと自画自賛(笑)。
川とんぼ、ご存知ですか?
私は昨年夏の丹沢にて、初めてはっきりと見ました。
普通のトンボと違って、羽を蝶のようにたたんでとまるんですね。
極細で、目に鮮やかなエメラルドグリーンの体です。
存在感のある生地と、カワセミと、川トンボと・・・。
ぎりぎりまで無駄を省いて、特別な一本を目指しました。
~染め帯なごや帯~マルニ友禅工房
