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今月の帯三本目*“水玉(もしくはドロップ)”のこと

さて、今月の帯三本目、丹後夏紬生成り地名古屋帯*水玉のご紹介です。

マルニ友禅工房ホームページでは、毎月1日に新作帯を発表しております。
今ご紹介しているのは6月1日発表の帯たち。
6月中ば~7月~8月(ものによっては~9月半ば)に締めていただくのにちょうど良い感じです。

今回は、夏帯ならではの生地の魅力を生かすことを目指しました。

で、もうひとつの今月の特徴は、遠い夏の日の懐かしさ。
そんなことを意識していたので、マルニにしてはいつもより色鮮やかなものが揃いました。
そのものずばりのカラフルではなく、生地の質感やちょっとしたタッチで、上質感と過ぎし日のイメージを目指しつつ。


今回の丹後夏紬生成り地名古屋帯*水玉は、その代表です。

mizutama4.jpg 

実は今回初めて、作業に入ってから思いっきり進路変更ということをやってしまいました。

友禅をやる方ならお分かりと思いますが、手描友禅というのは陶芸や油絵とは違い、最初に徹底的にイメージを確定し、それを目指して技法と工程を組み立て、それにしたがって作業を進めます。
途中で、インスピレーションが沸くままに変えることはできません。
理由としては例えば、
下絵を描いた後、伸子と呼ばれる竹の棒で生地を張って、糸目糊を引くのですが・・・、

goshoitome1.jpg 


伸子を張った後に下絵や糸目で柄を足すと、伸子に引っ張られている部分の生地がゆがんでいるので、最後に洗って歪みが直ってみると、びっくりするような線になってたりします。
とくに直線なんてぐにゃぐにゃに。

また例えば、糸目を引いたら、全体にふのりや呉汁の液を引く“地入れ”という工程があり、糸目の糊を生地にぐぐっと食い込ませるのですが、後で柄を足して糸目を引いても、地入れができません。

その他もろもろたくさん・・・。
本当に友禅とは、一連の工程の組み立てがとても大切なのです。
まあ、慣れてきて自由度が出てくると、あっとびっくり裏技にて、小さな変更はちょこちょこやるんですけどね。

今回は、そんなちっさな変更ではございません。
ドロップのようなポップな色の丸、というのは最初からの予定でしたが、お茶碗くらいの丸をぼんぼんぼんと配置する予定だったのです。
が、糸目を引いて地入れをして、小さな共布に色試しをしていたら、どうしても小さな水玉を並べたくなってしまった。

ちょっと滲んだり歪んだりしてる方が可愛いから、思い切って直接描いちゃおうかな・・・。
自分のにしちゃえばいいかな・・・。

友禅としてはありえないことです。
夏帯って本当に気持ちが軽くなるんですよね。
不思議です。

で、できあがったのがこちら。

mizutama1.jpg 

感想、
・・・・・楽しかった♪

お好みは人それぞれですのでね、
マルニは職人ですから、自己満足ばかりではいけないのですが。
今回は、自分の好みでつっ走りました。
もし、好みが合う方がいらしたらどうぞです。

とは言え宣伝も・・・。

こう見えて、安っぽくないのですよ。
まずは生地が上質です。
先日ご紹介した“貝殻”と同じ、丹後の夏紬です。
生成りの色と素朴な質感と透け感が、とっても良いです。
真っ白でつるっとした生地だったら、全然違うでしょうね。

それと、手描きのゆがみ、にじみがいい味わいです。
落書きのような糸目の線も、プリントもんとは違うぜ!とさりげなく主張しています(笑)。

で、意外にどんなお着物にも合わせやすいんですよ。
自分のにしようかと思ったりもしてますので、いろいろ組み合わせてみました。
浴衣にも良いです。
私なら、10代の頃に親が見立ててくれた男物の白木綿絣かな~。 (黄ばんでる?)
で、レトロなガラスの帯留。
トンボ玉も良いかも♪

昔から”帯に派手なし”と言われますが、大人な女性がこんな帯でさらっと遊んでいると、肩の力が抜けていて素敵だなと思います。
夏ならではの楽しみです。
あと帯ならではの。

ポップな水玉のプリント木綿地を普段用の帯に♪、というのも大好きなんですよ。
実際使えますしね。
でもマルニとしては、ぐっと上質な、特別感のある帯を目指しています。




~染め帯なごや帯~マルニ友禅工房

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