今月の夏帯4本目、
長浜夏紬ぜんまい横縞地名古屋帯*ヤモリ(未仕立)のご紹介です。

縦節があって透けの美しい長浜夏紬に、ぜんまいが横縞に織り込まれためずらしい生地です。
今年の夏帯生地のサンプルを送っていただいて、最初にこの生地を見た時は、すぐに返品のつもりでいました。
生地の個性が強くて、染めるものが思い浮かばなかったからです。
上質なだけあって、お値段も塩瀬よりお高かったし。
今年の夏帯生地すべてそうなんですけどね。
でも、質感が良くてとても魅力的な生地だったので、とりあえず数日眺めておりました。
そのうちに、突然浮かび上がったのがこちらのヤモリです。
Tシャツやアクセサリーでは、似たような図柄が“トカゲ”として表されることが多いようですが、こちらは間違いなく“ヤモリ”です。
長男3才の母の日に、“ママ、プレゼント~!”と捕まえてきてくれたことがありました(笑)。
まだ移住前ですので、東京大田区にて。
私はなぜか子供の頃から爬虫類両生類 (生きてるものに限り) には愛着を感じる方でしたが、ヤモリ、トカゲ、イモリ、カナヘビなどの違いが分かるほどではありませんでした。
息子に鍛えられ、今はだいぶ分かるようになりましたよ。
ヤモリの特徴は、5本指の先が丸くなってるんです。
それで、壁や天井を自在に登ります。
カナヘビ(=身近なトカゲ)は、もっとずっとシャープな感じです。
実物はどちらも比べがたく可愛いんですが、図柄にするなら、指先の感じからどうしてもヤモリ!
ヤモリは“守宮”“家守”と言われ、大事にされてきた縁起物でもありますしね。
そして、この生地があればこそ。
恥ずかしながら、今夏まで気づかなかったことです。
ありがたいような慎むような気持ちがわいてきます。
爬虫類苦手な方ごめんなさい。
~染め帯なごや帯~マルニ友禅工房
