いつものことですがびっくりするほど間が空いてしまいました💦
しかもこの度は、ご無沙汰している間に本当に思いもよらない状況となってしまいましたね。
今も日本中世界中に、苦しい思い、悲しい思い、寂しい思い、やりきれない悔しい思いを抱えておられる方々がたくさんおられると思います。
どうか少しでも早く辛い状況が終わり、心愉しく幸せな気持ちが世界に溢れるよう祈っています。
新型コロナウィルスの蔓延が始まって以来、マルニ友禅工房もいろなことを考えました。
東日本大震災の時も、昨年の台風被害の時も考えたこと。
友禅なんてやっていて意味があるのだろうか?
人々が生きることに精一杯取り組んでいる時に、、と、社会に対する無力さを痛感します。
しかし毎回同じようにぐるぐると考えては、同じところに行きつく。
東日本大震災の後にいただいたいくつものメールから、教えられたこと。
それは私の染めた布から、喜び、愉しさ、幸せを感じてくださる方がいるということです。
それは作り手にとって何にも勝る滋養であり、薬です。
一人の市民として社会に対してできることをしつつ、一人の作り手として、誰かが幸せを感じてくれることに感謝しつつ、自分のためにも制作を続けていきたいと思っています。
人はパンのみにて生きるにあらず
人間にとって“生きる”とはなかなかに複雑ですね。
だからこそ面白い。
さて、そんな中お届けした塩瀬帯のご紹介です。
塩瀬黒地九寸染名古屋帯「宝尽くし」

最初は、犬張子の帯のご注文でした。

“黒地の塩瀬帯が欲しいのです。
松竹梅のようなすっきりした柄が好みですが、松竹梅だと季節が限定されてしまうので。”
とのこと。

それではより汎用性の高い黒地帯を、ということで、宝尽くしをご提案いたしました。
いかにもな宝尽くしでなく、白い蓑をメインにして色数を抑え、すっきりと洒脱さのある印象を目指しました。
仕上げの顔料描きがまた楽しいところ。
呼吸を整えて、筆先だけになったつもりで線を入れていきます。

『もう、何というか…涙が出そうなくらい素敵です。
~
宝づくしの一つ一つは愛らしいけれども、全体に品よくスタイリッシュ…。
色々な着物に合わせ長く締められると思います。生地も素敵な塩瀬で大満足です、ありがとうございました。
(母に見せたかったー!)
札幌もまだ夏日なのですが、秋になりましたら早速こちらの帯を締めてお茶の稽古に出かけます。』
この度も、こんな嬉しいメールをいただきました。
皆さまにいただいたメール、何度も読み返している自分に笑ってしまいます。
そして急に涼しくなった札幌で、この帯を締めてお稽古なさるお姿を妄想しております♥
ありがとうございました。